わざと私のバンドの邪魔をするとブチのめすぞ
お前はハシるのか モタるのか
私のテンポに合わせるのか!
当記事にはネタバレが含まれます。
映画を既に見た方。ネタバレを知りたい方以外の方はお気をつけください。
また、筆者の知識不足、解釈の違い等もある可能性があります。
以上を踏まえた上で楽しんでいただけたら幸いです。
こんな映画
- 公開年: 2015年 ※アメリカは2014年
- 上映時間:1時間46分
- 監督: デイミアン・チャゼル
- 出演 : マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ
- 公式サイト: 映画『セッション』公式サイト
- ジャンル: 音楽ドラマ映画
- サブジャンル: ジャズ、ドラム、鬼コーチ、
- 暴力描写: あり
- 恋愛描写: あるっちゃある ※性的シーンはなし
こんな人にオススメ
- ジャズが好きな人
- 吹奏楽部部活などに打ち込んだことがある人
- しごかれた経験がある人
- ドMな人
視聴方法
・Hulu
・Plime Video
・U-NEXT
日本最大級のビデオオンデマンド<U-NEXT>無料トライアル実施中!
あらすじ
【完璧】を求めるレッスンは常軌を逸し、加速していく―。
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。
映画『セッション』公式サイトより
雑感・考察 (ネタバレあり)
デイミアン・チャゼル監督の出世作。ラ・ラ・ランドやファーストマンとは毛色が違いますね。
正直、この映画は誰に勧めて良いのか分かりません笑
終始苦しい状況が続きます。主人公がずっと苦しんでもがきます。見ててもしんどいです笑
だからこそ、あの素晴らしいラストが、より素晴らしいものに感じられるのだと思います。
言うまでもなく本作は名作です。
鬼先生フレッチャーの真意は
この映画を最後まで見たら、とある疑問が浮かんでくると思います
①フレッチャーは主人公の才能を引き出すためにわざとキツく当たったのか?
②それとも単に自分が王様になりたかっただけなのか?
③主人公が気に入らなかっただけなのか?
私は①と③だと思ってます。
当初は主人公の才能を認めて自身のクラスにスカウトした。
思った以上の逸材ではないと判断。
「俺が育てる」と激しさが増す(特に教え子の死が激しい指導を加速させる)
この後のニーマンの事故や密告により、復讐心が芽生える
ニーマンに恥をかかす(これもどうなんだ笑)
その後のニーマンの演奏に感化され、自分が求めてきた音楽のために「共闘」する。
割と行き当たりばったりというか。彼には彼なりの指導の信念があって(決して褒められる事ではありませんが)、それを貫き通す事が行動原理なんだと思います。
憎んではいたけど、元々は主人公のニーマンの才能を認めていたので、ニーマンが覚醒した時には自らの信念に従って彼を援護したのだと思います。
つまり、フレッチャーの行動は一貫していたということですね。
フレッチャーの行動は見る人によって様々な捉え方が出来るし、それを意識して作ったのだと思います。
皆様はどのように解釈しましたか?
主人公ニーマンの気性
主人公のニーマンは努力家ではありますが、性格が良いとは言い切れません。
一言で言うなら天才肌です。
自分に自信があり、何を犠牲にしても目的を達成する。
常に自分が正しいと考えています。
「え、ニーマンそんな自信家だったっけ?」と思われるかもしれません。
奴は相当な自信家です笑
自分に自信があって自分が正しいと考えているからこそ、自分に出来ないことは何もないと練習に打ち込む
そして自分の思い通りにいかないのは自分が悪いのではなく、他人が悪い。こう考えています。
それを自覚してるからこそ彼女に別れを切り出したのでしょう。
コンペティション当日。バスが遅れたのはしょうがないとしても、スティックを忘れたり事故を起こしたのは自分のせいです。
それを煽られたとはいえフレッチャーに殴りかかるのはただの八つ当たりですね笑
おとなしく見えて、相当な気性の荒さを秘めていると思います。
自分に自信があるからこそ、自分が正しいと思ってるからこそ、最後にフレッチャーにハメられた時にお父さんと一緒に帰るのではなく、もう一度舞台に戻ったのだと思います。
二人の関係性
最初は先生と生徒という立場上、フレッチャーが上にいます。
フレッチャーへの殴りかかりや再会から関係が徐々に近づいていき、最後にニーマンが独断でキャラバンを演奏しFワードを発したときにその関係は逆転したと考えます。
キャラバン演奏中の、フレッチャーの悪態からのシンバルで反撃の二人のやり取りは、もはや仲の良い悪友にしか見えなくなりました笑
そして逆転されたフレッチャーが暴走したニーマンのシンバルを直してうなずいて指揮を再開した時に二人は”対等”になり、この映画の最高潮となります。
そういう意味では本作は”逆転劇”なのかもしれません。
似た者同士
フレッチャーとニーマンを非常によく似ています。
立場は違いますが根っこの部分は同じです。
才能があり努力も惜しまないけれど、なにがなんでも目的を遂げるという信念と全てを捨てる覚悟がある。
フレッチャーとニーマンは両方ともそういう性格です。
ニーマンは内に秘めた気性の荒さを抑えて我慢してましたが爆発します。
フレッチャーもニーマンに再会した時は相当我慢してたはずです。クビになった原因ですからね。でも我慢します。
そして最後にニーマンに対して爆発します。もっとも、こちらは非常に陰湿ですが笑
似た者同士だからバチバチに衝突します。しかしその反面、目的が一致したら素晴らしい作品を生み出す爆発力があります。
タイトルで才能vs狂気と書きましたが、ニーマンとフレッチャー。二人共に才能と狂気を持ち合わせています。
少年漫画のような
最初は敵同士で、憎みあってた二人が最後に共闘してラスボスを倒す。
まるで少年漫画のような展開ですね笑
この映画は主人公(あるいはフレッチャー)の復讐劇なのか。それとも逆転劇なのか。
私は二人の強敵(とも)が力を合わせて、立ちはだかる敵に向かう映画だと思います。
音楽バトルと言えば言い過ぎかもしれませんがそれに近いかもしれません笑
冒頭で、終始苦しい状況が続くと書きました。
しかし、ニーマンが舞台に戻った時。フレッチャーがしゃべる途中でドラムの音が鳴った時。フレッチャーが悪態をついてニーマンがシンバルで反撃した時。ニーマンが暴走した時。フレッチャーがシンバルを直した時。フレッチャーが指揮を再開した時。二人が笑顔になった時。
めちゃめちゃワクワクしましたし、「スゲエエ」って思う感覚はまさに少年漫画のクライマックスです。
フレッチャーの口元を見せなかったことと、映画の終わり方のデイミアン・チャゼル監督の見せ方も最高でした。
この映画は誰に勧めていいのか分からないとも書きましたが、最後まで見たら誰もが何とも言えない高揚感を味わえると思います。
苦しい展開の後の開放感。この映画ならではの独特の感覚を体験できると思います。
主人公アンドリュー・ニーマン役のマイルズ・テラー
マイルズ・テラーは11月公開予定の「トップガン マーヴェリック」にも出演します。
マーヴェリックの相棒グースの息子役で出演します。
グースの息子は前作「トップガン」でピアノで火の玉ロックを歌う時に登場しましたね^^
その息子が大きくなって軍に入りマーヴェリックと共演します。
マイルズ・テラーはセッションの時よりも大人になりってます。ヒゲも生やしてます笑
何度も延期されましたが、こちらも非常に楽しみですね。
この映画は絶対に映画館で見ようと思います。
それでは。